4週目

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まとめ

1. 気体による絶縁

  • 空気: 1気圧でそのまま使用、または除湿して数気圧に加圧して使用。
  • 六フッ化硫黄 (SF6): 絶対圧で6気圧程度に加圧して使用。
  • 真空: 絶対圧が10^-4 Pa以下の高真空。

2. 気体の性質

  • 気体分子: 多数の粒子(分子)からなる。
    • 空気中の主要成分: 窒素 (78%)、酸素 (21%)、アルゴン (0.93%)、二酸化炭素 (0.035%)。
  • 分子密度: 大気圧では約2.5×10^25 [個/m³]。
  • 状態方程式: p = nkT
    • p: 圧力 [Pa]
    • n: 分子密度 [個/m³]
    • k: ボルツマン定数 1.38×10^-23 [J/K]
    • T: 絶対温度 [K]

3. 圧力の表示方法

  • 絶対圧: 真空状態を基準とする表示方法。
  • ゲージ圧: 大気圧を基準とする表示方法。例: タイヤの圧力はゲージ圧。

4. 気体中の電子の運動

  • 平均自由行程 (λ): 電子が衝突までに進める距離。
    • λ = 1 / (nσ) [m](大気圧では約0.3 μm)
    • n: 気体分子の密度 [個/m³]
    • σ: 衝突断面積 [m²]

5. 電子の発生源

  • 金属の表面からの放出:
    • 光電子放出: 光が入射し、光子のエネルギーが仕事関数を超える場合。
    • 二次電子放出: 電子が入射し、その運動エネルギーが仕事関数を超える場合。
    • 熱電子放出: 金属が高温(約103[K]以上)になると、表面から電子が放出される。
    • 電界放出: 強い電界(約10^8 [V/m]以上)があるときに発生。
  • 気体分子からの放出:
    • 電離: 気体分子がエネルギーを受け取り、電子が放出される現象。
      • 衝突電離: 外部からの電子が衝突し、電離が起こる。
      • 熱電離: 高温により気体分子同士が衝突し電離する。
      • 光電離: 光が気体分子に入射し電離が起こる。
      • 放射線による電離: 放射線が気体分子に作用し電離が起こる。

6. 電離の詳細

  • 電離エネルギー: 気体分子が電離するために必要なエネルギー。例: 窒素分子の電離エネルギーは15.5 [eV](約2.48×10^-18 [J])。

まとめ

気体の物理と絶縁特性について、高圧絶縁のために使用される気体の特性や、気体中での電子の運動や放出のメカニズムについて理解することが重要です。これには、気体の構成成分、圧力、温度、分子の運動エネルギー、電子の発生源、電離の過程などが含まれます。これらの知識は、高電圧工学における絶縁設計や評価に役立ちます。

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確認問題
セット1
セット2
セット3